妻名義でせどりを個人事業化した話【公務員副業の確定申告・経費管理】

公務員が副業収入を得た場合、税金の処理はどうするのか。

「会社にバレたくないから確定申告しない」という選択を取る人もいますが、それは脱税です。収入が一定額を超えれば申告義務があります。そして、申告するなら少しでも合法的に税負担を減らしたいというのは、当然の考え方だと思います。

私は消防士・救急救命士として20年間公務員を続けながら、8年間せどり副業をしてきました。累計1,000万円を超える利益を上げてきた中で、税の処理で大きな転換点になったのが「妻名義で個人事業として整理する」という方法でした。

この記事では、私たちが実際に取り組んでいることをお伝えします。扶養範囲内での小規模な運用を前提にした話です。


重要なお断り この記事は私個人の体験談の共有であり、税務アドバイスではありません。税制は個人の状況・収入額・家族構成・事業の実態によって最適解が大きく異なります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。


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なぜ「妻を個人事業主に」という発想になったか

副業を始めた当初は、せどりの収入を「雑所得」として確定申告していました。雑所得は経費を引いてから所得として計算するのですが、認められる経費の範囲が事業所得に比べて限定的で、税負担が思ったより重くなるケースがあります。

せどりの収益が年間100万円を超えてきた頃、「このまま雑所得で処理し続けるのは損ではないか」と思い始めました。

そのタイミングで税理士の先生に相談したところ、提案されたのが「妻の事業として整理する」方向性でした。

妻は当時、育児のために仕事を抑えていた時期でしたが、副業の実務にも一部関わっていました。梱包の補助、商品の写真撮影、購入者対応のメッセージ確認など。「これは実態として妻の事業と言えますよ」という税理士の言葉が、きっかけでした。

その後、妻名義で開業届を出し、現在も扶養の範囲内で小規模に運用しています。


個人事業主にする手続き(実際の流れ)

「個人事業主」というと難しそうに聞こえますが、手続き自体はシンプルです。

① 開業届の提出

税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出します。費用はゼロ。書類1枚で、当日中に手続きが完了します。国税庁のホームページからフォームをダウンロードして記入するか、e-Taxでオンライン提出も可能です。

② 青色申告承認申請書の提出

開業届と同時に提出するのが「青色申告承認申請書」です。これを出すことで、青色申告の特典(最大65万円の特別控除など)が受けられるようになります。

③ 屋号・業種の決め方

屋号は必須ではありませんが、銀行口座を事業用に開設するときに役立ちます。業種は「小売業」や「インターネット販売業」など、実態に近いものを選びます。

私たちの場合、手続き全体でかかった時間は半日程度、費用はほぼゼロでした。税理士費用は開業前から継続して払っていたので、開業そのものに追加費用はかかっていません。

手間の割に得られるメリットが大きい手続きです。


「妻の事業」として何をやっているか

ここが一番大切なポイントです。形式だけ整えても、実態を伴わなければ意味がありません。税務調査が入ったとき、「妻が実際にどんな仕事をしているか」を説明できなければ問題になります。

私の妻が実際に担っている業務はこちらです。

  • 商品リサーチの補助:仕入れ候補商品の相場チェック、Keepaでの価格推移確認
  • 出品作業・在庫管理:AmazonセラーセントラルやメルカリShopsでの出品登録、在庫数の管理
  • 梱包作業:商品の検品・梱包・発送準備
  • 商品撮影:メルカリ出品用の商品写真撮影(自然光を使ったセッティングは妻の担当)
  • 購入者対応:問い合わせメッセージの確認・返信の一次対応
  • 帳簿・領収書管理:月次の入力作業、領収書のスキャン・整理

これだけの実務があれば、「妻が事業をやっている」という実態は十分にあります。副業に名前だけ貸している状態とは全く違います。


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経費として認められたもの(実例)

個人事業主として青色申告をすると、事業に関係する支出を「経費」として売上から差し引くことができます。経費が増えれば課税所得が下がる、つまり税負担が減ります。

私たちの事業で実際に経費として計上しているものをご紹介します。

確実に経費になっているもの

  • 梱包資材(段ボール・エアキャップ・ガムテープ・宛名シールなど):仕入れ商品の発送に使う消耗品
  • 仕入れ費用:商品の仕入れ代金そのもの(これが最大の経費)
  • Amazon出品手数料・FBA手数料:販売プラットフォームの利用料
  • 交通費:仕入れ巡回時のガソリン代・駐車料金(走行記録をつけることが重要)
  • 税理士費用:顧問料・確定申告代行費用

家事按分で一部経費にしているもの

  • スマートフォン代:業務使用割合(例:50%)で按分
  • プリンター・スキャナー:購入費用と消耗品を按分
  • インターネット回線費用:業務使用割合で按分
  • 自動車関連費用:仕入れ巡回に使う割合を記録して按分

家事按分は「実際の業務使用割合に基づいた合理的な按分」が求められます。感覚で決めるのではなく、使用記録をつけておくことが大切です。

注意点:「事業に関係ある支出」の原則は絶対

経費として認められるのは、事業との関連性が説明できる支出だけです。「なんとなく仕事に使えそう」という理由では認められません。税理士さんに「これは経費になりますか?」と都度確認する習慣をつけることをおすすめします。


青色申告の壁と乗り越え方

青色申告の最大のメリットは「青色申告特別控除(最大65万円)」です。65万円を所得から差し引けるということは、税率によっては10万円以上の節税効果になります。

ただし65万円の控除を受けるには「複式簿記」での記帳が必要です。これが「難しそう」という心理的なハードルになっている方が多いと思います。

私たちが採用したのは、**freee会計(クラウド会計ソフト)**です。

freeeは複式簿記の知識がなくても使えるように設計されていて、銀行口座やクレジットカードを連携させると取引を自動で取り込んでくれます。妻が月に1〜2時間かけて入力・確認するだけで、帳簿がほぼ自動でできあがります。

月1回の入力を習慣にしておけば、年度末の確定申告時に慌てることがありません。「領収書が行方不明」「去年の数字が思い出せない」という状態を防げます。

税理士さんには月1〜2万円ほどお支払いしています。「それって高くない?」と思う方もいるかもしれません。でも、税理士費用そのものが経費になるうえ、節税のアドバイスをもらうことで浮く税金がはるかに大きい。費用対効果は十分です。


家族の給与(青色専従者給与)の可能性

個人事業主が家族に給与を支払う「青色専従者給与」という仕組みもあります。

妻に給与を支払う形にすると、その給与が事業の経費になります。一方で妻には給与所得控除が適用されるため、家族全体の税負担が下がる可能性があります。

ただし、青色専従者には大きな制約があります。「専従」の名の通り、その事業に専念している必要があり、他の仕事(パートや別の事業)ができなくなります(一部例外あり)。

私たちが青色専従者給与を選択しなかった理由は、「専従」の制約を受けたくないという判断からです。扶養範囲内での運用を続けながら、他の活動の選択肢も残しておきたかった。

青色専従者給与が向いているのは、副業以外の収入ルートを持たない専業主婦・主夫の方や、副業の規模が大きく給与として支払える金額がある場合です。自分たちの状況に合わせて、税理士に相談しながら判断することをおすすめします。


税理士との付き合い方

「税理士に相談する」というのは、富裕層や大きな会社だけの話ではありません。年間100万円超の副収入がある個人にとっても、税理士は十分に意味のある投資です。

私が税理士の先生を見つけたのは、知人からの紹介でした。副業やせどりに理解がある先生を探すのが重要で、「せどり経験者の申告を扱ったことがある」という実績を確認しました。

年間費用の目安(私の場合)は、月次顧問料+確定申告代行で年間20〜30万円程度です。これも経費計上できるので、実質的な負担はさらに少なくなります。

相談して本当に良かったと思った具体的なエピソードがあります。

せどりを始めた初年度、私はAmazonの売上をそのまま「収入」として申告しようとしていました。税理士の先生が「仕入れ費用・送料・手数料を全部引いた利益が収入です」と教えてくれて、申告額が大幅に変わりました。当たり前のことかもしれませんが、知らなければ払わなくていい税金を払っていたわけです。

「税理士はコスト」ではなく「節税のパートナー」という感覚で付き合うと、投資効果が見えてきます。


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まとめ:やって良かった3つのこと

妻名義で個人事業として整理したことで、実感している変化をまとめます。

① 経費が明確になった

事業として整理することで、「これは経費になるのか?」という判断軸ができました。お金の流れが見えるようになると、副業全体の収支管理の精度も上がります。

② 家族で取り組む体制になった

名前だけ借りるのではなく、実態を伴う形で妻も事業に関わっています。帳簿や確定申告のことを共有できるようになったのは、家計管理の面でもプラスだと感じています。

③ 税金の勉強になった

確定申告・経費・青色申告・按分……税理士さんとのやりとりを通じて、税の基礎知識が身につきました。これは副業以外の家計管理にも活きています。


この記事はあくまで私たち夫婦の体験談です。「うちもやってみたい」と思った方は、まず税理士への相談から始めることを強くおすすめします。開業届を出す前に相談することで、より最適なやり方を最初から設計できます。

「何から相談すればいいかわからない」という場合は、「副業のせどり収入があり、今後の税処理を整理したい」とだけ伝えれば、税理士が必要な情報を引き出してくれます。

公務員の副業は「バレないようにやる」ではなく、「きちんと申告してルールの中でやる」が鉄則です。合法的に、長く、賢く続けていきましょう。


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この記事は個人の体験に基づく情報共有であり、税務アドバイスではありません。税制は年度ごとに変わることがあり、個人の状況によって最適解が異なります。具体的な税務処理については、必ず税理士にご相談ください。