
「1個¥550で30個。メルカリで¥1,800なら……」——電卓を叩く前に、もう頭の中で利益が計算されていました。
仕入れ¥550税込、店頭在庫は棚に30個、奥の箱にもまだある。メルカリを開けば新品が¥1,665〜¥1,899で売り切れ多数。数字だけ見れば「全部買い」の案件です。それでも私は、1個も買わずにその場を離れました。
この記事では、パナソニックのLED懐中電灯(型番BF-SG01NW)を前にして、なぜ「利益が出そうなのに買わなかったのか」を、リサーチ画面の数字ごとそのままお伝えします。私が使っているプライスターのリサーチ画面と、Keepaの波形を並べて、スキップ判断の中身を分解します。
💡 副業を実際にやってる人は日本の就業者の約5%(総務省2022・副業者305万人)。この記事を最後まで読むあなたは、間違いなく上位5%=20人に1人です。
1. 店頭で見つけた瞬間「これは数撃てる」と思った

その日は家電量販店の値下げ商品を中心に、いつものルートで店を回っていました。中古の個人店と家電量販店のワゴン——この2業態は、メーカー品が崩れた値段で出ることがあるので、定点で見ています。
ワゴンの奥に積まれていたのが、パナソニックのLED懐中電灯BF-SG01NWでした。
- 本体価格:¥500(税込¥550)
- 在庫:棚に30個前後、奥の箱にもあり(実質30〜40個)
- パナソニックの現行品、防水仕様の定番ライト
メーカー品で¥550、しかも在庫がまとまってある。せどりをやっていると、こういう「数を撃てそうな案件」に出会うとアドレナリンが出ます。1個の利益が小さくても、30個さばければまとまった金額になる——そういう皮算用が一瞬で頭をよぎりました。
でも、ここで電卓を叩く前にスマホを出すかどうかが、長く続けられる人とそうでない人の分かれ目だと思っています。私はその場でメルカリとプライスターを開きました。
2. メルカリ相場で「やった!」と思った

まずメルカリで型番検索をかけました。出てきた相場はこうです。
| 区分 | 価格 |
|---|---|
| 新品未開封 | ¥1,665〜¥1,899 |
| 売り切れ(SOLD) | 多数 |
| 型番違いを含む帯 | ¥1,820〜¥2,790 |
新品が¥1,665〜¥1,899で、しかもSOLDが多数。売れている証拠が並んでいます。仕入れ¥550に対して売値¥1,800なら、メルカリ手数料10%と送料を引いても1個あたり¥800〜900は残る計算です。
30個さばければ利益2万円以上。この時点では「やった、当たり案件だ」と思いました。メルカリの相場だけを見れば、誰がどう見ても「買い」です。
ただ、私は8年やってきて、メルカリ相場だけで判断して痛い目を見たことが何度もあります。メルカリの売り切れ相場は「過去に売れた値段」であって、「これから自分が売れる値段」ではない。特に在庫を大量に抱える場合、自分自身が相場を壊す側になります。
だからメルカリで「やった」と思った瞬間こそ、もう一画面——Amazon側のリサーチに切り替えるのが習慣になっています。
3. Amazonリサーチで気付いた3つの違和感

プライスターのリサーチ画面とKeepaを開いた瞬間、メルカリで見えていた景色が一変しました。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| Amazon新品最安値 | ¥814 |
| 中古 | ¥1,520 |
| 目安価格 | ¥1,269 |
| 新品出品 | 出品制限あり |
| Keepa波形 | 下落基調 |
違和感は3つありました。
違和感①:Amazon新品が¥814まで暴落している
メルカリでは¥1,800で売れているのに、Amazon新品はすでに¥814。同じ商品が、販路を変えるだけで1,000円近く違う。これは「メルカリ相場がまだAmazonの暴落に追いついていないだけ」のサインです。Amazonで¥814で買える商品を、メルカリで¥1,800で買い続けてくれる人は、いずれ減ります。メルカリ¥1,800も時間の問題で下がる、と読みました。
違和感②:新品に出品制限がかかっている
プライスター画面で新品の出品制限が表示されていました。つまり、私はこの商品をAmazon新品では売れない。販路がメルカリ一本に絞られるということです。メルカリ一本ということは、相場が崩れたときの逃げ道がない。これは在庫を大量に持つ前提だと、かなり怖い条件です。
違和感③:Keepaの波形が下落基調
Keepaのグラフは、はっきりと右肩下がりでした。価格が上下しながらも、トレンドとして下を向いている。こういう波形の商品は、寝かせても値上がりしません。むしろ持っているほど価値が下がる。「とりあえず仕入れて様子を見る」が一番効かないタイプです。
メルカリだけ見れば「当たり」、Amazon側まで見れば「地雷」。同じ商品でこれだけ印象が変わります。
4. 仕入れ¥550でも「買わない」と決めた4つの判断軸

メルカリの「やった」を、Amazonリサーチが冷やしてくれました。最終的にスキップを決めた判断軸は、次の4つです。
判断軸①:Amazon新品¥814まで暴落 → メルカリも追って下がる
販路をまたいだ価格差は、いずれ埋まります。Amazonで¥814で売られている商品のメルカリ¥1,800は、「まだ気づかれていないだけ」の一時的な高値である可能性が高い。安い販路の価格が、いずれ高い販路を引きずり下ろす——これが鉄則です。今高く売れていても、自分がさばき終わる前に相場が¥814側へ寄っていくリスクを重く見ました。
判断軸②:新品出品制限あり → 売る道が1本しかない
Amazon新品で売れない以上、販路はメルカリ一本。販路が1本しかない商品を30個抱えるのは、出口が1つしかない部屋に大量の在庫を運び込むようなものです。販路の数は、そのまま逃げ道の数。1本しかないなら、相場が崩れた瞬間に詰みます。
判断軸③:在庫30〜40個 → 自分が相場を壊す側になる
メルカリの新品出品はそれほど多くありませんでした。そこへ私が30個を一気に投入したら、どうなるか。供給が一気に増えて、自分自身が相場を¥1,800から押し下げる側になります。1〜2個なら成立する案件でも、30個になった瞬間に「需要 < 供給」が起きる。在庫数と需要の太さは、必ずセットで見る必要があります。
判断軸④:Keepa下落基調 → 寝かせても回復しない
「今は相場が悪いけど、寝かせれば戻るかも」が通用するのは、波形が横ばい〜上昇のときだけです。下落基調の商品を寝かせるのは、価値が下がり続ける在庫に倉庫代を払い続けるのと同じ。下落トレンドの商品に時間を味方につけることはできません。
この4つが全部「×」だったので、迷いはありませんでした。
5. この事例の本当の学び|「バリエーション混在」の罠
仕入れ¥550・在庫40個・メルカリ¥1,800。条件だけ並べれば、初心者ほど「なぜ買わないの?」と思う案件です。でも私がこの記事で一番伝えたいのは、個別の数字ではなく、この商品が「バリエーション混在の罠」にはまっていたという構造の話です。
このBF-SG01NWのようなライト類・家電小物は、Keepa上で型番違い(バリエーション)が複数ぶら下がっていることがよくあります。スマホで複数のSKUを行き来しながら、「自分が見ている価格は本当にこの型番のものか?」を確かめるのは、店頭ではかなり骨が折れます。
バリエーションが混在していると、こういう罠が起きます。
- メルカリで見た¥1,800は、実は別の上位型番の相場だった
- Amazonの新品制限は、特定のバリエーションだけにかかっている
- Keepaの波形が、複数SKUの合算でブレて見える
つまり「メルカリで高い・Amazonで暴落」というズレ自体が、バリエーション混在によって増幅されている可能性があるわけです。型番が1対1で明確に一致しない商品は、それだけで判断の難易度が跳ね上がります。
私が店頭で必ず見るのは、結局この2点に集約されます。
- 出品制限の有無(Amazonで売れるのか、販路は何本あるか)
- 在庫数と需要の太さ(自分が相場を壊さずにさばける量か)
この2つが揃わない商品は、利益率がどれだけ高く見えてもスキップする。¥550という安さは、判断を甘くさせる「罠の入り口」でもあります。安いほど「とりあえず買っておこう」が発動しやすい。だからこそ、安い商品ほど判断軸を厳格にしています。
せどりで「攻める」とは、たくさん仕入れることではありません。買わない判断を速く正確に下せることこそ、攻めの本質です。無駄な仕入れを避けて手元に残ったキャッシュと時間を、「増やす」(積立投資)や「守る」(固定費削減)に回す。仕入れの精度が上がることは、三本柱全体の安定につながります。


