ポイント2:前年の所得で計算してしまう罠
ふたつ目は、見落としやすいけれど影響が大きいポイントです。
ふるさと納税の上限額は、「寄附したその年(1月〜12月)の所得」で決まります。2026年に寄附するなら、2026年の所得が基準です。
ところが、所得は年末にならないと確定しません。だから多くの人は、「前年(2025年)の所得」を目安にして、その年の寄附額を決めます。会社員で収入が毎年ほぼ一定なら、これで大きな問題は起きません。
問題は、所得の変動が大きい個人事業主・副業者です。
所得が前年より「減った」ときが危ない
たとえば、前年の課税所得をもとに「上限8万円」と見積もって寄附したとします。ところがその年は、仕入れが増えた・売上が落ちた・大きな経費が出た、などで課税所得が前年よりガクッと下がった。すると、その年の本当の上限は6万円だった――というケースが起こります。
この場合、差額の2万円分は控除されず、まるごと自己負担になります。「お得なつもりが、ただの高い買い物だった」という、一番もったいないパターンです。
事業をやっていると、年によって利益は普通に上下します。「今年は前年より所得が下がりそうだ」という年こそ、上限を保守的に見積もるのが鉄則です。
対策は「年後半に微調整」
私のおすすめは、1年の所得の見通しがある程度立つ年の後半(秋〜年末)に、上限ぎりぎりを攻める寄附をするやり方です。
- 年前半:前年実績を参考に、堅い金額だけ先に寄附しておく
- 年後半(10〜12月):その年の売上・経費の着地が見えてきたら、残りの枠を埋める
こうすれば、所得が読みにくい個人事業主でも、上限オーバーのリスクを減らせます。「年初にまとめて寄附して終わり」は、所得が変動する人には向きません。

ポイント3:扶養家族が多い世帯(6人家族など)の控除計算
3つ目は、家族構成の影響です。ここも勘違いが多いところです。
「家族が多い=扶養が多い=ふるさと納税の上限も上がる」と思っている人が、けっこういます。でも、実際は逆になることが多いんです。
扶養控除があると、上限はむしろ下がる
理由はシンプルです。配偶者控除や扶養控除があると、その分だけ課税所得が下がります。課税所得が下がれば、住民税の所得割も下がる。ふるさと納税の上限は所得割の約2割でしたから、所得割が下がれば、上限も下がるわけです。
つまり、
同じ売上・同じ所得でも、扶養家族が多い世帯のほうが、ふるさと納税の上限額は低くなりやすい。
「うちは6人家族で養う人数が多いから、たくさん寄附できるはず」と思って多めに寄附すると、上限オーバーで自己負担が増える――という落とし穴です。
子どもの「年齢」でも変わる
さらにややこしいのが、子どもの年齢で扶養控除の扱いが変わる点です。
- 16歳未満の子ども:児童手当の対象のため、所得税・住民税の扶養控除はなし(=ここでは上限計算に効かない)
- 16歳以上の子ども:扶養控除の対象になり、課税所得が下がる(=上限が下がる方向)
我が家のように子どもが小さいうちは扶養控除が効かず、子どもが高校生・大学生になってくると控除が増えて上限が変わってくる、ということが起こります。家族構成は同じでも、年齢が変われば上限も変わる。毎年同じ金額で寄附し続けるのが危ない理由のひとつです。
だから「自分の世帯」で計算するしかない
ふるさと納税の早見表は、「独身・共働き・夫婦・子1人」など、典型的なパターンしか載っていません。6人家族や、配偶者の働き方、子どもの年齢が混ざった世帯は、早見表だけでは正確に出せないんです。
ここでも結論は同じで、自分の課税所得と、自分の世帯の控除をきちんと反映した詳細シミュレーターで計算するしかありません。