夏の節電対策イメージ

毎年7月になると、電気代の請求書を開くたびに小さくため息をついていませんか。

先月まで8,000円だったのに、エアコンをつけ始めた途端に1万5,000円。翌月には2万円を超える。このサイクルに「仕方ない」で諦めているとしたら、少しもったいないと思います。

夏の電気代が高くなるのは確かです。でも、「どれだけ上がるか」は、日々の習慣と契約内容の見直しで、思ったよりコントロールできます。経済産業省や各電力会社の試算によると、今回紹介するような節電習慣を複数組み合わせた場合、夏の電気代を月あたり数千円、年間では数万円単位で抑えられる可能性があります。

この記事では、わが家(3人の子どもを持つ家庭)が実際に取り組んでいる節電習慣を、効果の大きい順に5つ厳選して紹介します。夏が本格化する前に整えておくことで、9月の請求書まで一度も焦らずに済む夏を目指しましょう。

1. エアコンの設定温度と運転モードを見直す

夏の電気代の増加分を占める割合として、エアコンは家庭の中でも特に大きな消費電力を持つ機器です。環境省は冷房時の室温目安を28℃と推奨しており、1℃設定を上げるだけで消費電力をおよそ10%削減できるとされています。

ただし、「28℃に上げたら暑くて眠れない」という経験をした方は、設定温度よりも運転モードの見直しが先です。

自動運転モードを使う

冷房の「自動運転」モードは、設定温度に達するまで強く冷やし、その後は電力消費を抑えて維持するよう制御されています。「弱運転」を固定でつけっぱなしにするよりも、自動運転のほうが電力消費が少ないケースがほとんどです。

節電のつもりで「弱」に固定している方は、一度「自動」に切り替えてみてください。体感の涼しさを保ちながら、消費電力が落ちることが多いです。

サーキュレーターと併用する

エアコンの冷気は重く、足元に溜まります。上部に設置されたエアコンから冷風が出ていても、天井付近だけが冷えて足元が生ぬるい、という状態では設定温度を下げたくなります。

サーキュレーターや扇風機を使って室内の空気を循環させると、冷気が部屋全体に行き渡り、設定温度を1〜2℃高くしても快適に過ごせるようになります。サーキュレーターの消費電力はエアコンの数十分の一ですから、トータルの電力消費は下がります。

エアコンとサーキュレーター併用イメージ

つけっぱなしと細かいオンオフ、どちらが得か

短時間(30分〜1時間程度)の外出であれば、つけっぱなしのほうが電力消費を抑えられる場合があります。起動時に一番電力を消費するためです。ただしこれは部屋の断熱性や外気温に依存するため、「必ずつけっぱなし」と断言はできません。経産省の省エネガイドラインでも、30分以内の外出であれば運転継続が推奨されています。

2時間以上外出するなら消すのが基本です。外出時間に合わせてタイマーを設定する習慣をつけるだけで、無駄な稼働を大きく減らせます。

2. 冷蔵庫の使い方を少し変える

電気代の中でエアコンに次いで消費電力が大きいのが冷蔵庫です。24時間365日稼働しているため、設定や使い方を変えるだけで年間を通じた節約に直結します。

冷蔵庫の節電イメージ

7割収納を守る

冷蔵庫はぎゅうぎゅうに詰めすぎると、冷気の循環が悪くなり、設定温度まで冷やすためにより多くの電力が必要になります。目安として冷蔵室は7割程度の収納量が適切とされています。

逆に冷凍室は詰まっているほど保冷効果が高まるため、食品や保冷剤で埋めておくほうが効率的です。

冷蔵庫の設定を「中」に下げる

夏場でも冷蔵庫の設定が「強」のままになっていることがあります。冬から春にかけて上げた設定をそのまま使い続けているケースです。日本電機工業会の試算では、冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に変えるだけで、年間で数百円の節電効果があるとされています。

開閉時間を短くする

冷蔵庫のドアを開けている時間が長いと、冷気が逃げて再冷却に余分な電力がかかります。「何があったかな」と眺めながら開けておく習慣は、家庭の電力消費に思った以上の影響を与えます。

取り出したいものを決めてから開ける。この一手間だけで、年間数百円単位の節電になることが資源エネルギー庁の試算で示されています。

3. 待機電力をコンセントから断つ

待機電力の節電イメージ

使っていないのに電力を消費する「待機電力」は、家庭の電力消費全体のおよそ6〜7%を占めるとされています(資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」参照)。年間換算すると数千円規模になることがあります。

待機電力が多い機器

テレビ、電子レンジ、ホームシアターシステム、ゲーム機のスタンバイ機能、AC電源タップに常時さしているノートPCの充電器——これらは使っていない間も電力を消費し続けています。

特にテレビはリモコン受信のために常時電力を使っており、スタンバイ状態での消費電力が比較的大きい機器です。長期の外出や就寝時に主電源を切るだけで、月単位の節電につながります。

電源タップとスイッチ付きコンセントの活用

まとめてオフにできるスイッチ付き電源タップを使うと、PC周辺機器やAV機器の待機電力を一括で遮断できます。毎日コンセントを抜き差しする必要はなく、帰宅・就寝・外出のタイミングにタップのスイッチを切るだけです。

初期投資として電源タップを数個買う必要がありますが、年間数百円〜数千円の節電効果が期待できますから、数年で元が取れます。

家電の使い方を見直すことは、「守る」家計術の中でも再現性が高く、習慣化さえできれば毎年自動的に節約が続く点が強みです。

4. LED化と古い家電の買い替えタイミング

節電の中で見落とされがちなのが、機器そのものの効率です。同じ使い方をしていても、古い機器と最新機器では消費電力が大きく異なります。

照明のLED化

白熱電球を使っているご家庭がまだあれば、LED電球への交換は最もコストパフォーマンスが高い節電対策のひとつです。消費電力が白熱電球の約1/8〜1/10になるため、年間電力消費量の削減効果は大きいです。

蛍光灯についても、LEDに比べると消費電力・寿命ともに劣るため、交換のタイミングがきたら順次LED化することをおすすめします。初期コストは数百〜数千円かかりますが、長寿命のため年単位でみればコストが下がります。

LED電球と省エネ家電イメージ

10年超の冷蔵庫・エアコンは買い替えで電気代が逆転することがある

家電の省エネ性能は、この10〜15年で大きく向上しています。10年以上前に購入した冷蔵庫やエアコンを使い続けている場合、最新機種に買い替えることで、年間の電気代が大幅に下がるケースがあります。

家電メーカー各社の試算では、10年前のエアコンから最新エアコンへの買い替えで、年間数千円〜1万円超の電気代削減になる場合があるとされています。冷蔵庫も同様で、10年以上経過した機種は最新機種より年間2,000〜5,000円程度多く電力を消費しているケースがあります。

買い替えにはまとまった初期費用がかかります。ただし、電気代の削減分を考えると、数年単位で元が取れる場合があります。「故障するまで使う」という方針はわかりますが、古い機器を使い続けることが毎月のランニングコストを押し上げているという視点も持っておくとよいでしょう。

なお、家電を買い替える際には、省エネラベルの星の数と年間消費電力量(kWh)を必ず確認してください。カタログスペックよりも実際の使い方で変わりますが、比較の基準として有効です。

5. 電力会社の契約プランを見直す

電力会社プラン見直しイメージ

「電力自由化」以降、電力会社は複数の選択肢から選べるようになっています。にもかかわらず、引越し時に自動的に割り当てられた地域電力会社のプランをそのまま使い続けているご家庭は少なくありません。

時間帯別プランの活用

日中ほとんど家を空けている共働き家庭や、深夜に家電を使うことが多い家庭には、時間帯別料金プランが向いていることがあります。深夜の電力単価が昼間より安く設定されており、食洗機・洗濯乾燥機・給湯器などを夜間に集中させるだけで電気代を抑えられます。

ただし、日中の在宅時間が長い家庭は昼間の単価が上がるため、かえって高くなる場合もあります。自分の生活パターンと照らし合わせて判断することが重要です。

新電力との比較

楽天でんきや東京ガスの電気プランをはじめ、さまざまな新電力会社がサービスを提供しています。使用量・地域・生活スタイルによっては、現在の契約より月々数百円〜数千円安くなることがあります。

比較する際のポイントは以下の3点です。

  • 基本料金と従量料金の合計で比較する(基本料金が安くても従量が高いと意味がない)
  • ポイント還元や特典を含めたトータルコストで考える(楽天ポイントが貯まるプランなど)
  • 解約違約金と最低利用期間を確認する(乗り換えを躊躇させる条件がある場合も)

なお、新電力は一部の事業者が市場価格連動型の料金設定をしているため、電力市場が高騰した際に想定外に請求額が上がることがありました(2022〜2023年の事例)。選ぶ際は固定型か変動型かを確認するのが安心です。

アンペア契約の適正化

基本料金はアンペア数で決まります。現在の契約アンペアが実際の使用量に対してオーバースペックであれば、アンペア数を下げることで基本料金が安くなります。

ただし、ブレーカーが頻繁に落ちるようであれば下げすぎです。電力会社への申請は無料でできるため、直近の利用データを見ながら判断してみてください。

まとめ:「守る」習慣を積み重ねて、浮いたお金を増やす側に回す

夏の節電は、ひとつの対策で劇的に変わるものではありません。エアコンの使い方・冷蔵庫の管理・待機電力カット・省エネ機器への切り替え・契約プランの見直し——この5つを組み合わせることで、月単位で数千円、年間では数万円単位の削減が見えてきます。

家計の考え方として、私は「守る・攻める・増やす」の3本柱で整理しています。

  • 守る:固定費・光熱費・保険料などの支出を抑えて、手元に残るお金を増やす
  • 攻める:せどりや副業など、追加の収入源をつくる
  • 増やす:守り・攻めで残ったお金を新NISAなどで資産形成に回す

節電はこの「守る」に当たります。努力が一度きりではなく、毎月の電気代として積み重なっていくのが節電の強みです。夏の電気代を年間で2〜3万円削減できれば、その分をオールカントリー(全世界株式)のインデックスファンドに毎月積み立てる原資にできます。

「エアコンを我慢して暑さを耐える」節電ではなく、「快適さを保ちながら、無駄をひとつずつ外す」節電を。その積み重ねが、家計の底力をじわじわと高めていきます。

まず今日できることから始めるとすれば、電気代の検針票か電力会社アプリで先月の使用量を確認してみてください。それだけで、自分の家のどこに改善余地があるかが見えてきます。


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