💡 せどりで大きく負けるのは「高く仕入れたとき」ではなく「売れない在庫を長く抱えたとき」です。この記事は、その典型パターンをまるごと踏み抜いた記録です。
5年前、「これは売れる」と匂いがした瞬間
その商品は、Giovanni(ジョバンニ)のホットチョコレート シュガーボディスクラブ。アメリカの自然派ボディケアブランドで、260gの大きめジャーに入った、カカオの甘い香りがするスクラブです。
当時、この商品はAmazonで安定して売れていました。海外コスメ・自然派コスメは「ドラッグストアには置いていない」「ギフト需要がある」ジャンルで、回転も価格もそこそこ良かったんです。
たまたま仕入れルートでまとまった数を安く確保できるタイミングがあり、私は「これは行ける」と判断しました。
- Amazonで売れ筋だった
- 海外コスメで代替が効きにくい
- ギフト・季節需要(乾燥する秋冬)が見込めた
ここまでは、判断として大きく外していません。問題はこの後、「安く確保できるから」という理由で一気に50個も抱えてしまったことでした。

50個仕入れ→出品開始→出品者が増えて値崩れ
仕入れた50個をAmazonのFBAに送り、出品を開始しました。バーコードラベルを一枚ずつ貼って、段ボールに詰めて、納品して……この作業だけでも半日仕事です。

最初の数個はすぐ売れました。「やっぱり読み通りだ」と思ったのも束の間、同じ商品を出品する人がどんどん増えていったんです。
売れ筋商品というのは、私が見つけられるということは、他のせどらーも同じように見つけられるということ。安く確保できるルートがあれば、そこには必ず後続が来ます。結果どうなるかというと——
| 時期 |
出品者数 |
価格の動き |
| 出品直後 |
少ない |
想定どおりの価格で数個成約 |
| 数週間後 |
増加 |
値下げ合戦がスタート |
| 1〜2ヶ月後 |
さらに増加 |
利益がほぼ出ない水準まで下落 |
**「利益が出る価格では売れない」「売れる価格では利益が出ない」**という、せどりで一番きついデッドロックにはまりました。50個のうち、この時点で気持ちよく売れたのは本当に最初の数個だけです。
寝かせ戦略の落とし穴──1年後にAmazon側でロックされた
ここで私は、多くの人がやりがちな判断をします。
「今は値崩れしてるけど、出品者が減れば価格は戻る。だから売り急がず寝かせよう」
これ自体は、間違った戦略ではありません。回転の速い定番品なら、供給が細れば相場は戻ることもあります。ただ、寝かせるという判断には『在庫の間ずっとリスクにさらされ続ける』というコストがある——私はこれを甘く見ていました。
そして翌年、決定的なことが起きます。
Amazonが化粧品カテゴリの出品規制を強化し、この手の商品を出品するのに事前の承認(申請)が必要になったんです。海外コスメや自然派スクラブのような「成分表示・薬機法まわりで慎重に扱うべき商品」は、Amazon側が出品のハードルを一気に上げました。
結果、寝かせていた在庫が出品できなくなった。売り場を失ったわけです。手元には、行き場をなくしたスクラブが大量に残りました。
💡 「価格が戻るまで寝かせる」の一番の敵は、値崩れそのものより『売り場のルール変更』です。プラットフォームの規約は、こちらの都合を待ってはくれません。
メルカリで50個を処分──1個あたり平均400円マイナス
Amazonで売れないなら、販路を変えるしかありません。私は残りをすべてメルカリに切り替えて、コツコツ売り切ることにしました。

上の画面が、実際に売り切ったときの記録です。1個あたり2,999円が中心で、2個セットにして5,800円、まとめ売りで4,400円……といった価格で、SOLDの文字を一つずつ増やしていきました。

一見すると「2,999円で売れてるなら儲かってるのでは?」と思うかもしれません。でも、ここからメルカリの販売手数料10%と送料が引かれます。大きくて重いジャーなので送料もそれなりにかかる。手残りを計算すると、仕入れ値を下回るものがほとんどでした。
最終的な収支はこうです。
| 項目 |
内容 |
| 販路 |
Amazon(数個)→ 残りは全部メルカリ |
| メルカリ売却価格 |
1個 2,999円〜、セット 5,800円 など |
| 差し引いた手残り |
手数料・送料を引くと平均で1個あたり約400円のマイナス |
| 50個トータル |
約2万円の赤字 |
数字以上にきつかったのが、**「半年以上、この在庫のことがずっと頭の片隅にあった」**という時間的・精神的なコストです。出品して、値下げして、コメントに対応して、梱包して発送して……。その労力を時給換算したら、赤字は2万どころではありません。
8年目のせどりが、この失敗から学んだ3つの教訓
痛い思いをした分、ここから得た教訓ははっきりしています。いま私が仕入れ判断をするときに、必ず通しているチェックです。
教訓1:安く買えても「50個」は抱えない。まず少量で回転を見る
一番の敗因は、「安く確保できる」を「たくさん買っていい理由」にすり替えたことです。仕入れ値が安いことと、その数をさばききれることは、まったく別の話。
いまは、初めて扱う商品はまず数個だけ入れて、実際の売れ方(何日で・いくらで・何個売れたか)を見てから、追加するかどうかを決めます。回転が確認できてから量を増やす。この順番を絶対に逆にしません。
教訓2:「寝かせる」は無料じゃない。売り場が消えるリスクを織り込む
在庫を寝かせている間、プラットフォームの規約変更・カテゴリ規制・アカウント側の制限は、いつでも起こり得ます。特に化粧品・食品・家電など「規制が入りやすいジャンル」は、寝かせるほどリスクが積み上がります。
「価格が戻るまで待つ」なら、待てる期間の上限を最初に決めておく。◯ヶ月で戻らなければ損切りしてでもさばく、というラインを引いておくべきでした。
教訓3:販路は最初から2つ想定しておく(Amazonが閉じてもメルカリで逃げられる)
結果的に私を救ったのはメルカリという第二の販路でした。もしAmazon一本だったら、在庫は完全に死んでいました。
だからいまは、仕入れる前に「この商品はAmazonがダメでもメルカリ・他モールでさばけるか」を必ず確認します。出口が一つしかない商品は、その出口が閉じた瞬間に詰みます。
失敗談として書きましたが、伝えたいのは「せどりは怖い」ではありません。負けパターンには型がある、ということです。
- 安さを理由に量を抱える
- 売れない在庫を根拠なく寝かせる
- 販路を一つに依存する
この3つを避けるだけで、大きく溶かす事故はかなり防げます。私はこの2万円で、それを体で覚えました。同じ授業料を、あなたが払う必要はありません。
在庫と利益をきちんと数字で管理していれば、「これは寝かせ過ぎだ」「この価格ではもう損切りすべきだ」という判断が早くなります。私は日々の在庫・利益の管理にプライスターを使っていて、こういう塩漬け在庫を早めに見つけて逃げるためにも役立っています。
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