プライスターの「売れたもの」画面。ニッポーのタイムカードとDAIKOのダウンライトが並び、それぞれの商品価格・仕入価格・粗利が表示されている

リアル店舗と電脳を行ったり来たりしながら、物販8年目のhiroです。

上の画面は、私のスマホの実物です。直近に売れたものが並んでいます。

この記事で書きたいのは、この一覧に出てくる「粗利」の話……ではありません。その手前で私が何を設定していたかの話です。

せどりを始めたころの私は、値付けというのは「いくらで出すか」を決めることだと思っていました。1つの数字を決める作業だと。

8年やった今は、まったく違うことをしています。商品を1つ登録するたびに、数字を2つ置いています。 上の数字(攻めの売価)と、下の数字(守りの底値)です。

💡 売価は「いくらで売りたいか」、底値は「いくらまでなら下げていいか」。この2つを、仕入れた直後に同時に決めておく。

そして今日いちばん書きたいのは、その底値を、私が途中で408円から600円に引き上げたという話です。値下げ合戦の真っ最中に、底を上げた。結果どうなったかというと、その翌日に718円で売れました。

その一部始終と、直近7案件ぶんの設定値を全部並べます。


そもそも「底値」を置く欄がある

ノートパソコンの前で大きな電卓を叩いている手元。数字を確かめている様子

Amazonで物を売るとき、多くの人は価格改定ツールを使います。私はプライスターを使っていて、これは8年のうちのほとんどの期間、ずっと同じです。

このツールで商品を登録すると、価格の欄のほかに、こういう項目が出てきます。

設定項目 何を決める欄か
販売価格 いくらで出すか(攻めの数字)
価格追従モード 他の出品者に合わせて自動で動かすかどうか
赤字ストッパー ここより下には絶対に下げない、という下限(守りの数字)

「赤字ストッパー」という名前の欄が、いわゆる底値です。ここに数字を入れておくと、自動改定がどれだけ働いても、その金額より下には行きません。

初心者のころ、私はこの欄をほぼ空欄同然で運用していました。理由は単純で、「安くしてでも売れたほうがいい」と思っていたからです。

これが本当に危ないということを、寝ている間に思い知らされました。夜中に競合が値下げ→こちらも自動で追従→さらに向こうが下げる→また追従。朝起きたら、仕入れ値を割った価格で売れていた、ということが実際に起きます。

自動改定は、止める線を引いておかないと、底なしに下がります。 相手も自動でやっているので、機械同士が下へ下へと譲り合う形になるわけです。


直近に売れた5件を、そのまま並べる

抽象的な話をしても伝わらないので、直近に売れたものを画面のまま出します。

プライスターの「売れたもの」画面の続き。アクティブスレンダー・ONE PIECEカード・DAIKOダウンライト4個の販売実績が並んでいる

商品 注文日 販売価格 仕入 粗利 在庫
DAIKO ダウンライト DDL-4496AB(4個) 8/17 40,000円 4,000円 27,524円 0
ONE PIECEカード スタートデッキ(1個) 8/17 718円 275円 151円 4
アクティブスレンダー 交換パッド(1個) 8/17 3,239円 2,000円 580円 0
DAIKO ダウンライト DDL-4497AB(2個) 8/19 22,000円 2,000円 15,424円 2
ニッポー タイムカード NTR-2500・2700用(1個) 8/19 2,094円 200円 1,120円 3

粗利の幅が151円から27,524円まで、実に180倍ひらいています。同じ人間が、同じ週に、同じツールで売ったものです(いちばん下のタイムカードについては、今朝の記事で「締日が1日ちがうだけで代用できない」という構造を詳しく書きました)。

ここで大事なのは、この5件は「同じ設定」で売れたわけではないということです。追従をONにしているものと、OFFにしているものが混ざっています。底値も、価格に対して近いものと、はるか下にあるものがあります。

その内訳を、次に全部出します。


7案件の設定値を、全部公開する

ノートパソコンの横で、ノートにペンで書き込んでいる手元

私が今年の8月に扱った案件から、設定が記録に残っているものを並べます。売価・底値・追従モードの3点セットです。

商品 攻めの売価 守りの底値 追従 結果
DAIKO DDL-4497AB 11,000円 9,500円 FBA最安値 8/19に2個・粗利15,424円
REGZA D-M210 75,000円 70,000円 しない 未販売(継続中)
ONE PIECE ST-28 728円→718円 408円→600円 FBA最安値 8/17に1個・粗利151円
TOYGER プレイマット 5,382円 (記録なし) 未販売
アクティブスレンダー 3,300円→3,239円 2,812円 あり 8/17に完売
マルゴ 安全靴 2,500円 2,000円 しない 8/15に実売・粗利2,159円
DAIKO DDL-4496AB 40,000円 (記録なし) 8/17に4個・完売

記録が残っていないものは、正直に「記録なし」と書きました。設定した記憶はあっても、スクリーンショットが残っていないものを数字で断言はしません。

この表を眺めると、私が無意識にやっている使い分けが見えてきます。順番に説明します。


追従を「する/しない」で分ける、たった1つの基準

店の棚に同じような水筒がびっしり並び、値札が下がっている売場

表を見ると、追従を「しない」に設定しているのは、REGZAのレコーダーと安全靴です。逆に「FBA最安値に追従」にしているのは、ONE PIECEカードとダウンライトです。

分けている基準は、私の中では1つだけです。

合わせるべき相手がいるかどうか。

追従というのは「他の出品者の価格に合わせる」機能です。ということは、合わせる相手がいない商品では、そもそも意味がありません。

具体的にはこうです。

状況 追従 理由
新品の出品者が20件以上いる(厚い市場) する 最安値から外れると、そもそも見てもらえない
出品者が自分だけ(独占) 実質不要 合わせる相手がいない。むしろ勝手に下がると損
コンディションが唯一無二 しない 展示品・箱なしなど、比較対象がそもそも別物

REGZAのレコーダーを「しない」にしたのは、3番目の理由です。あれは店頭の展示品を仕入れて、あえて「中古品-ほぼ新品」で出したものでした。他の出品者は新品を出しているので、価格を機械的に合わせにいくと、まったく違う条件の商品と勝負することになってしまいます。この判断の詳細はREGZA D-M210を実質37,000円で仕入れた記事に書きました。

安全靴も同じで、タグ付きの未使用品なのに正規の箱がない、という中途半端な状態でした。箱なしを承知で買ってくれる人にだけ届けばいいので、追従は切っています(この案件の全手順はこちら)。

逆にONE PIECEのカードは、新品の出品者が20件以上いる厚い市場でした。ここで追従を切ると、最安値から10円ずれただけで存在しないのと同じになります。だから追従はON。そのぶん、底値の設計が生死を分けます。


本題:底値を408円から600円に上げた

プライスターの「売れたもの」画面。ONE PIECEカードが718円で売れ、仕入価格275円・粗利151円・在庫4と表示されている

ここからが今日の本題です。

8月12日、私はONE PIECEカードのスタートデッキを1個275円で9個仕入れました(半額シールが貼られたワゴンです。詳細はこの記事)。

出品したときの設定はこうでした。

  • 販売価格:728円
  • 価格追従:FBA最安値
  • 赤字ストッパー:408円

この408円という数字、自分で考えて置いたものではありません。ツールが「FBAならこのくらいの価格が目安です」と出してきた金額を、そのまま底値の欄にコピーしただけでした。

4日後、そこそこ売れているのに気づいて画面を見返したとき、血の気が引きました。

計算してみてください。仕入れは1個275円です。718円で売れたときの手数料は292円でした。つまり原価と手数料を足すと、1個あたりおよそ567円かかっています。

底値は408円。

567円かかる商品の底値を、408円に置いていたわけです。もし競合が一斉に値下げして408円まで落ちていたら、ツールは律儀にそこまで追いかけて、1個売れるたびに150円以上を失っていたことになります。

「赤字ストッパー」という名前がついているのに、赤字を止めない位置に置いていた。名前に安心して、中身を検算していませんでした。

8月16日、底値を600円に引き上げました。追従はONのままです。

そして翌日の8月17日、718円で売れました。 粗利151円、利益率21%。底値を上げても、値下げ合戦に巻き込まれることはありませんでした(このときの中間報告はこちら)。

正直に補足しておくと、600円でもまだ甘いです。 原価と手数料で567円ですから、600円で売れても手元に残るのは30円ちょっと。本当は650円から700円のあたりに置くべきでした。次の同種の案件では、そうします。


底値は「損益分岐」ではなく「利益確保ライン」

スーパーの陳列棚に商品が並び、値札の看板が掲げられている売場

ここまで読むと、「じゃあ底値は損益分岐点に置けばいいのか」と思われるかもしれません。

私はそうしていません。損益分岐点より、もっと上に置いています。

いちばん極端な例がREGZAのレコーダーです。

項目 金額
実質の仕入 37,000円
手数料率(実績からの逆算) およそ9.2%
計算上の損益分岐 41,000円前後
実際に置いた底値 70,000円

損益分岐より、およそ29,000円も上に底を置いています。

なぜかというと、底値は「ここまでなら損しない線」ではなく、「ここまで下がったら、もうこの商品は売らない線」なのだと考えているからです。

41,000円で売っても、たしかに1円も損はしません。でもその1台のために、店に行って、交渉して、持ち帰って、写真を撮って、コンディション説明を書いて、梱包して、発送しています。時間という原価は、ツールの手数料欄には出てきません。

なので私は、こういう順番で底値を決めています。

  1. 原価と手数料を足す(=本当の損益分岐)
  2. その商品に使った時間と手間を思い出す
  3. 「これ以下なら、やらないほうがマシ」と思える金額を出す
  4. その金額を底値の欄に入れる

3番が肝です。数字ではなく、自分の感情で決めていいところだと思っています。「41,000円で売れても嬉しくない」なら、それは底値ではありません。

この考え方に切り替えた経緯は、利益率で仕入れを決めるのをやめた話に詳しく書いています。


追従をONにすると、粗利は静かに削れていく

木の机の上で、印刷されたグラフの資料とタブレットを見比べている手元

追従をONにした商品には、もう1つ知っておくべき性質があります。売価が、静かに下がっていきます。

アクティブスレンダーの交換パッドが、いい例でした。

時点 販売価格 粗利
1個目が売れたとき(8月上旬) 3,300円 635円
2個目が売れたとき(8月17日) 3,239円 580円

10日間で61円下がり、粗利は55円減りました。率にすると粗利が8.7%削れています(1個目の実績はこの記事に書いたものです)。

設定画面のスクリーンショットは残っていないので断言は避けますが、価格が勝手に61円動いている以上、追従は効いていたと考えるのが自然です。そして底値は2,812円に置いてあったので、3,239円はまだ底からかなり上。ストッパーは仕事をする場面ですらなかった、ということになります。

ここで言いたいのは「追従が悪い」ではありません。追従をONにするなら、粗利が数%削れることを最初から見込んでおけ、ということです。

私は今、仕入れの判断をするときに、こう考えるようにしています。

表示された粗利から1割引いても、まだ買う気になるか?

1割引いてもOKなら買う。1割引いたら旨味が消えるなら、それは追従ONで戦う商品ではありません。 独占に近い商品を探すか、そもそも見送ります。出品者が1社しかいない商品の見分け方はKeepaで「売ってる店が1つだけ」を読む記事に、逆に出品者が急に増えたときの危険サインはこちらの記事にまとめてあります。


自己発送は、送料と資材費を底値に織り込む

作業台に積まれた段ボール箱と梱包用テープ。発送準備の様子

最後にもう1つ、底値を決めるときに必ず引っかかる落とし穴があります。

自己発送の商品は、ツールが出す粗利に配送料と梱包資材費が入っていません。

安全靴の例です。ツールの画面上では、2,500円で売れて粗利2,159円、利益率86.4%と表示されていました。ものすごく良い数字に見えます。

でも実際には、宅急便で603円かかっています。手元に残ったのはおよそ1,556円、率にして約62%。表示と実態のズレは、およそ28%ありました。

底値を2,000円に置いていたので、この案件は問題ありませんでした。もし底値を「粗利がゼロにならない線」として計算していたら、送料ぶんだけ丸ごと足りない設定になっていたはずです。

自己発送の場合、私は底値をこう組み立てます。

底値 = 仕入 + 手数料 + 配送料 + 資材費 + 「やる気が出る利益」

FBAなら配送料と資材費の行が消えるので、そのぶんシンプルになります。同じ商品でも、FBAと自己発送では底値が違うということです。

この検算を3件ぶん、1円単位でやった記事がこちらです。乖離は27.9%と33.8%でした。1回読んでおくと、底値の置き方が変わると思います。


まとめ:明日、商品を1つ登録するときにやること

木のテーブルの上で、コーヒーの入ったカップを持っている手元

長くなったので、やることだけ並べます。

  1. 売価を決める前に、底値から決める。 仕入+手数料+(自己発送なら送料と資材費)+「これ以下ならやらない」金額。
  2. ツールが出す目安価格を、そのまま底値にコピーしない。 私はこれで、原価567円の商品の底を408円に置いていました。
  3. 追従は「合わせる相手がいるか」で決める。 出品者が20件いるなら追従ON、自分だけ・コンディションが特殊なら追従OFF。
  4. 追従ONの商品は、粗利が1割削れる前提で仕入れる。 削れたら旨味が消える商品は、そもそも買わない。
  5. 底値は途中で上げていい。 私は408円を600円に上げて、その翌日に718円で売れました。

この5つは、全部プライスターの1画面の中で終わります。所要時間でいうと、1商品あたり1分もかかりません。

なぜこれをツールでやるかというと、手数料の計算を自力でやると、まず合わないからです。Amazonの手数料はカテゴリごとに違い、FBAか自己発送かでも変わります。「1,800円儲かるはず」が「717円だった」というズレは、たいてい手数料の見落としです。

プライスターを使っているのは、攻めの売価と守りの底値を、仕入れた直後に同じ画面で両方セットできるからです。30日間の無料お試しがあるので、まず手持ちの1個だけ登録して、底値の欄に何を入れるか考えてみるのが早いと思います。


数字はすべて執筆時点(2026年8月)の私の実績です。Amazonの相場も手数料も日々変わるので、必ずご自身の画面で確認してから判断してください。今日の底値が、来月も正しいとは限りません。


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