Amazonの商品ページ。税込41,150円の表示の下に無料配送のお届け日と「残り1点 ご注文はお早めに」の赤い文字があり、その下に黄色い「カートに入れる」ボタンとオレンジ色の「今すぐ買う」ボタンが並んでいる

物販を8年、リアル店舗と電脳の両方でやっているhiroです。

上の画面は、私が今日たまたま開いた、ある家庭用プリンターのAmazon商品ページです。

黄色い「カートに入れる」ボタンが1つ。オレンジの「今すぐ買う」が1つ。ごく普通の画面に見えます。

でもこの商品、同じページに出品者が47人います。

そして買い物客の大半は、その47人のことを一度も見ません。黄色いボタンを押して、終わりです。

💡 商品ページに出品者が何人いても、「カートに入れる」ボタンに入っている在庫は、そのうちの1人ぶんだけ。

せどりを始めた最初の年、私はここが分かっていませんでした。「出品すれば、一覧のどこかに並んで、そのうち誰かが見つけてくれる」と思っていた。実際には、並ぶ場所によって売れる確率が何十倍も違います。

今日は、この「カート」という枠を軸に、私の在庫が売れた案件と、2か月まったく動かない案件を並べて分解します。


「カートに入れる」は、1商品に1つしかない

Amazonの商品ページの新品欄。税込41,150円の価格、無料配送のお届け日、「残り1点 ご注文はお早めに」の表示、黄色い「カートに入れる」ボタンとオレンジの「今すぐ買う」ボタン、その下に出荷元・販売元として第三者の店舗名が表示されている

もういちど、同じ画面をよく見てください。ボタンのすぐ下に、小さくこう書いてあります。

「出荷元 / 販売元」

ここに出ている名前が、いま黄色いボタンを押したときに商品を送ってくる人です。この商品では、Amazon本体ではなく、第三者の出品者の名前が出ていました。

つまり、あのボタンの中身は誰か1人の在庫であって、Amazonの在庫とは限らない。 そしてその「誰か1人」の枠は、常に入れ替わります。

この枠のことを、出品者の界隈では「カート」とか「カートボックス」と呼びます。Keepaの画面では「Buy Box」と表示されるので、そちらで見覚えのある方もいるかもしれません。

なぜここまで大事かというと、買い手側の動線がこうなっているからです。

買い手の行動 出品者から見た意味
黄色いボタンを押す カートを取っている1人だけが売れる
「他の出品者」を開いて選ぶ 残り全員に、ようやく出番が来る

私の実感では、後者に進む買い手はかなり少ないです。家電やカード類のように「どれを買っても同じ」商品ほど、その傾向が強くなります。

だから、出品者が20人いる商品に何も考えずに在庫を置くと、在庫は存在しているのに、画面上は存在していないのと同じという状態が普通に起きます。


出品者47人の商品で、私の在庫は売れた

Amazonの商品ページ下部。「中古 - 良い」の欄に21,980円と割引率、お届け日、発送元と販売者の店舗名が並び、その下に「Amazonの他の出品者」「新品&中古(47)点を比較する」という見出しが表示されている

冒頭のプリンターは、私が実際に扱った商品です。ブラザーのA3インクジェット複合機で、古物市場の「山買い」で丸ごと引き取った荷物の中に入っていました(その山の内訳はこちらの記事に全部書いています)。

私はこれを中古品-非常に良いのコンディションで、自己発送で出しました。そして8月に、24,000円で売れました。

出品者は47人。そのうち私が売れた。

理由は、才能でも運でもありません。画面をもう一段スクロールすると分かります。

上の画像を見てください。新品のカートとは別に、「中古 - 良い」という枠がもう1つあるのが分かると思います。

これがこの記事でいちばんお伝えしたい話です。

新品のカートと、中古のカートは、別枠。

新品で41,000円台の激戦をやっている47人と、中古で20,000円台に並んでいる私は、そもそも同じ土俵に立っていません。 中古を探しに来た人にとって、私のライバルは新品出品者ではなく、中古で並んでいる数人だけです。

正直に書いておくと、この案件そのものは赤字でした。 山買い40,000円のうち30,000円をこのプリンター本体に配分していたので、24,000円で売れた時点で粗利はマイナス8,218円、利益率マイナス34.2%。手数料は2,218円でした。

ただし同梱されていた純正インクが別で売れて、そちらが利益を出しています(本体とインクを合算した収支はこの記事に1円単位で書きました)。

赤字の話をしたいのではなく、「47人いても売れる場所はある」という構造のほうを今日は持って帰ってほしいです。


カートを取れない理由は、だいたいこの4つ

スーパーの店先に、赤いハンドルの買い物カートが何台も入れ子状に連結されて並んでいる様子

では、カートに入れない在庫は何が起きているのか。

Amazonが判定の中身を公表しているわけではないので、ここは8年やってきた私の観察として読んでください。断言ではありません。それでも、当たっている感触があるのは次の4つです。

見ている項目 私の在庫が落ちるとき
価格 最安から離れている(数十円でも効く)
配送の速さ 自己発送で「4〜5日後にお届け」になっている
コンディション 新品の枠を、中古で取りにいこうとしている
在庫の状態 そもそも在庫切れ・出荷停止になっている

4つ目は笑い話に聞こえますが、実際にあります。FBAに送ったつもりの納品が受領されていない、自己発送の在庫数を戻し忘れている、といったケースです。

そしていちばん多いのは2番目だと思っています。

価格を最安に合わせても、自分だけ「お届け日」が3日遅ければ、買い手には遅くて同じ値段の選択肢に見えます。値段しか見ていない出品者が見落とすのは、たいていここです。

なお1番目の「価格」については、機械的に最安へ追いかけると底なしに下がります。その止め方は値付けで置くべき数字は2つある、という記事に、私の実際の設定値ごと書きました。今日の記事とセットで読むと効きます。


そもそもカートの話が関係ない商品もある

倉庫の中の光景。オレンジ色の支柱の棚に段ボール箱が積まれ、床には金属製の樽が何段も並んでパレットに載っている

ここまで読んで「じゃあ毎回47人と戦うのか」と思われたかもしれませんが、私の仕入れの主力はむしろ逆です。

戦わなくていい商品を探しています。

たとえば私が8月に売ったDAIKOのダウンライトは、出品者がほとんどいない商品でした。1個1,000円で仕入れたものが11,000円で、しかも2個まとめて売れて粗利15,424円(この案件の全記録はこちら)。

出品者が自分だけなら、カートは自動的に自分のものです。取り合う相手がいないので、価格を下げる理由もありません。

こういう商品をどう見つけるかは、Keepaの「出品者数」のグラフを読むのがいちばん早いです。売っている店が1つに減っていく商品の見分け方はこちらの記事に、逆に出品者が急に増えたら手を引くという危険サインはこちらの記事にまとめてあります。

仕入れの現場での判断はシンプルです。

出品者が多い商品は「カートを取る算段」がいる。 出品者が少ない商品は、それ自体が算段になっている。

前者に手を出すなら、価格でも配送でも、勝てる理由が要ります。理由が思いつかないなら、それは見送っていい商品です。


FBAは「お届け日」を買っている

倉庫の作業場で、ストレッチフィルムで巻かれた段ボール箱がパレットの上に積み上げられ、作業者の手がフィルムのロールを持っている様子

さっきの4項目のうち、自分の努力でいちばん動かしやすいのが「配送の速さ」です。そしてこれを一発で解決するのがFBAです。

FBAに預けると、商品はAmazonの倉庫から出ていきます。買い手の画面には「明日お届け」が並びます。同じ値段なら、明日届くほうが選ばれます。

私の実例で言うと、リサイクルショップで2,000円だったマックスのタイムレコーダーは、FBAに入れた直後、10秒で売れましたそのときの記録はこちら)。粗利6,573円、利益率60.4%です。

10秒というのは、もちろん元から買う気の人がいたということですが、その人の画面のボタンの中身が私だったというのが本質です。自己発送で「5日後にお届け」と出ていたら、たぶん別の出品者が売っていました。

逆に、FBAに1年眠っていたWiFiルーターが、ある日ひっそり売れて粗利2,592円になった、という例もあります(寝かせ在庫の記事)。放っておいても勝手にカートを取り続けてくれるのがFBAの強みで、これは自己発送では真似できません。

ただし、FBAは万能ではありません。手数料と保管料がかかるので、単価の低いものを大量に置くと利益が溶けます。どこで線を引くかはFBAと自己発送の使い分け記事に、私の損益分岐の考え方を書いています。


それでも自己発送で売れるとき

梱包用の段ボールの表面に、黒いマーカーで大きく「fragile」と手書きされている様子。奥には気泡緩衝材が写っている

ここまで書くと「全部FBAにしろ」に読めますが、私は今も自己発送をかなり使います。

冒頭のプリンターがそうですし、8月に売れた安全靴もそうでした。2,500円で売れて、ツール表示の粗利は2,159円(作業10分の全手順はこちら)。

自己発送でも売れるのは、カートの取り合いが起きていない商品のときです。

  • 中古・展示品など、コンディションが唯一無二
  • 箱なし・タグ付きなど、条件を承知の人にだけ届けばいい
  • そもそも出品者が数人しかいない

こういう商品は「明日届くかどうか」で選ばれていません。その条件のものが、ほかに無いから選ばれています。

ただし自己発送には、必ず思い出してほしい落とし穴があります。ツールに出る粗利には、配送料と梱包資材費が入っていません。

安全靴の例だと、実際の宅急便代が603円かかっていて、手元に残ったのは約1,556円。表示と実態のズレは約28%でした。この検算を3件ぶん1円単位でやったのがこの記事で、乖離は27.9%と33.8%です。

そして送料そのものを確定させる手順はAmazonの配送サービスを使い切る記事にまとめてあります。ここを詰めないと、カートを取れても手残りが読めません。


カート欲しさに値下げする前に、3分だけ確認する

白い机の上に開かれたノートと電卓、ペン、ノートパソコンが置かれ、窓からの光が差し込んでいる様子

在庫が動かないと、人はまず値下げをします。私もやります。

でも値下げは、いちばん取り返しがつかない手です。一度下げた価格に競合が合わせてきたら、市場ごと下がって元に戻りません。

なので私は、値下げの前にこの順で確認します。所要3分です。

  1. 自分の商品ページをスマホで開く。 出品者としてではなく、ただの買い物客として開くのがポイントです。
  2. 「出荷元 / 販売元」を見る。 そこが自分の名前なら、カートは取れています。売れないのは別の理由(そもそも需要がない)です。
  3. 自分以外の名前なら、その人の「お届け日」と自分のお届け日を比べる。 日付が負けているなら、下げるべきは価格ではなく配送方法です。
  4. コンディションの枠を確認する。 中古の自分が新品のカートを狙っていないか。狙っていたなら、そもそも取れません。
  5. ここまで全部クリアしていて、価格だけが負けている。 このときだけ、値下げを検討します。

3番と4番で止まるケースが、体感でいちばん多いです。価格の問題ではないのに価格を下げているというのが、いちばんもったいない負け方です。

そして5番に進むときも、下げていい下限は先に決めておきます。ここを決めずに自動改定に任せると、寝ている間に仕入れ値を割ります。私が408円に置いていた底値を600円に引き上げた話は、この記事に書いたとおりです。


2か月動かない在庫を、私はどうしているか

暗い室内で、片手に持ったスマートフォンの画面を見ている手元。奥にノートパソコンのキーボードが写っている

いま私の手元には、動いていない在庫があります。

エディオンの店頭で展示品を仕入れたREGZAのレコーダーです。実質37,000円で仕入れて、中古品-ほぼ新品で75,000円スタート。自己発送、価格追従なし(仕入れの経緯はこちら)。

これは、まだ売れていません。

でも私はこれを「失敗」だとは思っていません。理由は、カートを取りにいっていない在庫だからです。

新品の出品者と価格で殴り合っても、こちらは展示品です。勝てる勝負ではないし、勝ちにいった瞬間に利益が消えます。だから最初から、「ほぼ新品の中古を、この値段でいいから欲しい」という人が来るまで待つという設計にしてあります。

在庫を判断するとき、私は在庫を2種類に分けています。

種類 打ち手
カートを取りにいく在庫 価格・配送日・コンディションを揃える。取れないなら撤退か、FBAに移す
カートを取りにいかない在庫 待つ。ただしいつまで待つかを最初に決めておく

後者で決めておくべきは、期限です。私は「年内」のように区切って、そこを過ぎたらフリマ側へ回します。判断の軸を利益率からROI・拘束日数・月間確保数に組み替えた話はこの記事にまとめました。

現金が寝ている日数は、粗利率よりずっと痛いです。


まとめ:今日、在庫を1つ開いてやること

窓辺の木の台に置かれた、透明なガラスのマグカップに入った濃いコーヒー。奥に木枠の窓が写っている

長くなったので、行動だけ並べます。

  1. 自分の出品を、買い物客の画面で開く。 出品者ページからではなく、商品ページから。
  2. 「出荷元 / 販売元」が自分かどうかだけ、先に見る。 ここが今日いちばんの確認事項です。
  3. 自分でないなら、価格ではなく「お届け日」から疑う。 遅いなら、値下げではなくFBAを検討する。
  4. 中古で新品の枠を狙っていないか確認する。 枠が違えば、そもそも競合していません。
  5. 値下げは最後。 下げる前に、下限の数字を先に置く。

出品者が47人いる商品でも、枠が分かれていれば、実際に戦う相手は数人です。逆に出品者が5人でも、全員が同じ新品の枠に並んでいれば、そこは激戦です。人数ではなく、枠を見てください。

私がこの確認を毎日できているのは、価格・在庫・手数料が1画面に並んでいるからです。プライスターを8年ほぼ切らさず使っているのは、カートを取りにいく設定(追従)と、取りにいかない設定(追従なし+下限)を、商品ごとに切り替えられるからで、これを手作業でやるのは私には無理でした。30日間の無料お試しがあるので、まず今ある在庫を1つだけ登録して、下限の欄に何を入れるか考えてみるのがいいと思います。


数字はすべて執筆時点(2026年8月)の私の実績と画面です。Amazonの価格・出品者数・お届け日は毎日変わりますし、カートの判定基準もAmazonが公表しているものではありません。必ずご自身の画面で確認してから判断してください。


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